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「不思議な感じだなぁ」
ふと、
後ろでぼんやり
していたはずの
蛍太があたしの
左手を取り、
つぶやき落とす。
撮影のあと、
蛍太は本当に
あたしを都内のホテルに
連れてきた。
そのまま浴室のバスタブに
お湯を張り、
強引に中に
引きずり込まれたのだ。
蛍太は見た目以上に
甘えただと、
こうして
ふたりきりになる度に
思う。
さっと身体を
洗ったあと、
いつもこうして
あたしを後ろから抱いて
お湯の中でまったり温まる。
正面から
向き合うよりは
恥ずかしくないから、
落ち着くんだけど。
「なにが不思議なの?」
「莉々の手。
可愛いなぁと思って……」
どこか浮かされた声で、
蛍太は続ける。
あたしの手を広げさせたり
ひっくり返して
眺めたりしながら、
なにが面白いのか
蛍太は「ほー」と
溜め息をついた。
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