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「……誘ってくるからだよ。
綺麗過ぎるから
悪い」
ぞくりとするような
甘ったるい声で
蛍太が
そうささやいた瞬間。
「──カット!」
満足そうな
白瀬さんの声が
場を切り取り、
蛍太とあたしの間で
張り詰めていた緊張感が
ぱあんと霧散した。
「すごい! すごい!
KE-TAさんの
言う通りになった!
なにこれー!」
クレーンから
降りてきた白瀬さんは、
頬を紅潮させて
蛍太とあたしの前まで
走ってきた。
ものすごく大人なのに、
白瀬さんは少女のように
高揚している。
「ど? ど?
俺すごくない?
絶対チューした方が
やばいと思ったんだよねー!」
同じテンションで
蛍太も白瀬さんに駆け寄り、
ふたりで
ハイタッチなどしながら
キャッキャし始めた。
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