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「綺麗なんだよ、
とっても。
本当に」
両手を握り締め、
神妙な顔で訴える蛍太。
その顔を見ながら、
さっきからふつふつと
湧き上がる
怒りの正体を探す。
そう、あたしは確かに
怒りを覚えていた。
けれど探し当てた瞬間、
自分がいかに
蛍太に参っているか──
そのことだけを
思い知らされてしまった。
……蛍太が他の女性と
なにかを共有して共謀した、
その事実にだけだ。
「もったいなくて、
個人的にはやなんだけどさぁ。
でも、
これは莉々にとって
大事な仕事だし。
働く女性に最強のメイク、
ってCMだし。
女の人のことなら、
色っぽいことが
ついて回る方が
みんな嬉しいかなって……」
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