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──なんだろう、
そういう真っ直ぐ上に
伸びようとする気持ちを、
無慈悲に
へし折られそうな
この恐怖。
自分のこと、
真っ直ぐだなんて
思ったことはないけれど。
少なくとも、
積極的に誰かに
いやな思いを
させようだなんて
思ったりは
してこなかったつもりだ。
……今、
目の前にいらっしゃるこの
女性のようには。
「蛍太は、
今日ここへは来ませんよ」
この間のようなことを、
謎の優越感を交えて
投げかけられるのは嫌だった。
あたしが先に
蛍太のことを言うと、
せつなさんはぴくりと
片方の眉を持ち上げる。
けれどうっすらと浮かべた
笑みは崩さない。
そうだ、
この人はイベントの司会も
悠々とこなせる。
失礼だけど、
きっと心臓は
あたしよりもずっと強い。
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