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「さ、こっちこっち。
満平さん、早く」
急かすというよりは
はやし立てるように、
朱里さんはあたしのぶんも
椅子を引いて
満平さんに声をかけた。
隣の朱里さんと
ほぼ同時に腰を下ろし、
会議室の隅にあった
筒状の箱を抱えてくる
満平さんを見つめる。
真っ白で筒状の
箱を抱きかかえ、
満平さんはにかっと笑う。
いつもの
大人の女性の微笑みとは違う
その表情に、
彼女の高ぶり具合が
また窺えた。
「びっくりしないで、
くださいね」
彼女にしては
やけに芝居がかった
その声に、
なぜか緊張を煽られる。
──松崎さんは
会議室の隅で、
自分の携帯を
弄っているのが見えた。
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