黄金色の秋

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  “Raison d'etre”を 抱えながら 他にもタレントを 扱うなんて、 簡単じゃない。 朱里さんの 申し出を断ったさなかで あたしを持つことも、 お兄ちゃんの 体面としては 芳しくないはずだ。 それなのに、と思うと 急に恥ずかしくなってくる。 「お兄ちゃん……」 「ん」 「今日、 “Raison d'etre”は いつ終わるの」 「進行次第だが、 まあ21時には」 「……池上さんに、 “lucieid”に 寄って欲しいって 伝えて欲しい…… 蛍太を連れて」 「KE-TAの部屋に 送らなくていいのか?」 「それだと、 朝、帰る時大変だから。 ……蛍太に会ってから、 考える」 「判った」 あくまで淡々とした お兄ちゃんの言葉と声に、 この人には一生 頭が上がらないなと思った。 .
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