第1章

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  胃に消化のいいものを入れると体調も良くなったような気がする。 「ん~、復活」 「それは、よかったです」 「昨夜迷惑をかけたお詫びに、ここはわたしが払うから」 伝票を持って先に席を立つ。 昨夜の焼き鳥屋はワリカンだった。 先輩のわたしが払うつもりでいたのに、頑として新井くんがそれを許さなかったのだ。 「じゃ、ゴチになります」 「ご馳走様でした」 新井くんと美保が声を合わせる。 「たまにはね」 これぐらい、後輩あってのわたしなのだ。 そう、最近つくづく思う。 円滑な人間関係は仕事の肝。 これから、新井くんとも美保とも上手くやっていきたい。 恋なんて、二の次でいい。 今のわたしには、仕事以外に何もないのだから。
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