第2章

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   健太郎と新井くんの歓送迎会までアッという間だった。 健太郎の結婚にショックを受けていたけれど、新井くんの教育係を任されていたことで、なんとか平静を装っていられた。 新井くんと言えば、頭の回転が速く、マニュアルと簡単な説明だけで、ある程度の仕事の流れは理解出来ているようだった。 わたしが何年もかけて覚えたものを数週間で習得してしまうなんて、落ち込んでしまいそうだけど、 「ショーコさんの教え方が上手いんですよ」と、お決まりの爽やかな笑顔で言われてしまえば、 そうなのかなぁ。なんて、ちょっと気分がよくなったりもして。 「ショーコさん。この見積もり、確認お願いしてもいいですか?」 「もう出来たの?」 「はい。この前のカームフレックスと同様の考え方でいいんですよね?」 「うん、そうだけど……」 書類を手に取って、電卓を片手にチェックする。 ……うわ、完璧。 文句のつけようがない。 「これで、OK。先方と納期の打ち合わせをして、工場にオーダー流して」 「了解です」
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