第9章

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  「……ここじゃ、ダメ」 拒むつもりもないのに、敢えてそんな言葉を口にすると 新井くんは「もう遅い」と意地悪な笑みを浮かべて、わたしの肌に指を滑らせた。 狭いソファの上で無理な姿勢で身体を繋げた。 身体を屈めて新井くんにキスを強請る。 そのまま揺さぶられるから、呼吸もままならなくて、ただ新井くんの首にしがみついた。 混ざり合う熱い吐息と淫らな水音がわたしの鼓膜を揺らす。 際限なく高められた身体は、もうすぐ限界に達するだろう。 失恋の傷は、新井くんが癒してくれた。 そして、その愛情に包まれて、わたしはこの上なく幸せを感じている。 これからも、きっと。 この愛は限りなく続いていくと信じられるのだ。 数ヵ月後、わたし達は結婚する。 神様の前で永遠の愛を誓って。 それから……。
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