第1章

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     「ショーコさん、最近元気ないですね?どうかしたんですか?」 「そ、そう?」 彼と別れたことを隠して、会社では空元気を出していたけれど、健太郎はお見通しだったみたい。 「ちょっとね」 苦笑いで誤魔化すわたしに、健太郎は「週末だし、パッと飲みに行きますか」とわたしを誘った。 残業して会社を出たのは七時過ぎ、居酒屋が一番込み合う時間帯だ。 お気に入りの安くて美味しい居酒屋はどこも満席で入れなかった。 「しょうがないな。じゃ、居酒屋けんちゃんにでも行きますか?」 居酒屋けんちゃん? そんなお店聞いたことないけど、健太郎の行きつけなら間違いないだろうと思って頷いた。 途中、コンビニでおつまみとビールを買い込む。 「ね、居酒屋けんちゃんってどこ?」 「俺のアパートです」 「……あ、そう」 男性の一人暮らしの部屋と聞いて、ちょっと躊躇う。 でも、まぁ、健太郎だし。別にいいか。と結局は着いていった。
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