第1章

7/26
6061人が本棚に入れています
本棚に追加
/329ページ
  今から二人は、神様の前で永遠の愛を誓う。 賛美歌が終わり、パイプオルガンの音色も止んだ。 牧師が聖書の朗読を始める。 もうすぐ、誓いのキスだ。 見たくないと思っているのに、目を逸らすことが出来ない。 健太郎が花嫁のヴェールを持ち上げる。 見つめあったあと顔を傾け、二人のシルエットが重なった。 「……ッ!!」 その瞬間、言葉にならない声が漏れて、慌ててハンカチで顔を隠す。 隣にいた後輩の美保は、わたしが感動して泣いていると勘違いしたみたいだ。 「ショーコさんってば」とわたしを宥めるようにそっと腕を掴んだ。
/329ページ

最初のコメントを投稿しよう!