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新井くんは、遠まわしにデートのお誘いを断っているけれど、彼女はなかなか引き下がらないみたいだ。
それにイラついたのか、新井くんの表情がだんだん険しくなっていく。
「いえ、週末は用事があるんですよ」
ちょっと強めの口調でそう言った新井くんは、ふとわたしの方に視線を向けた。
「……ぅ!!」
油断していた所為で、バチリと目が合ってしまった。
イヤイヤ、気にしてたわけじゃないからね。
新井くんが小松さんとどうなろうとわたしには関係ないし。
週末だって、小松さんと約束しても構わないから。
そう思っていたのに。
「ええ。はい。機会がありましたら是非」
徐に受話器を置いた新井くんは、わたしを見てクスッと笑った。
それがまるで「約束はちゃんと守りますよ」と言われているみたいで。
わたしは高鳴る鼓動に気付かないフリをして、逃げるように席を立った。
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