最終章

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北へ向かう西へ飛ぶ、気流の流れに左右されながら、レーダーに反応する者は無く、エーテル弾道飛行は予定に狂い無く、指定されている水俣沖に停泊中の鳳翔艦隊をレーダーに捉えた。 鳳翔を真ん中に包囲するように、赤城、加賀、飛龍、蒼龍。 その付近の干渉海域まで差し掛かった時、晴明は繋いでいるワイヤーをコックピット内でパネルを操作し外す。 「両機、鳳翔へ向かい指示に従って下さい。自分は、オレンジを摘みに行ってきます」 それを言って、晴明のチェルミナートルは、上空へ向かって上昇し両機から離れていく、残された二機は、晴明の指示に従って鳳翔へ向かう その頃、此方へ合流する艦隊がある。 旗艦金剛を筆頭に、比叡、摩耶、鳥海、翔鶴、瑞鶴が、鳳翔艦隊の方へと合流する 「ー了解、護提督。二番艦比叡より打電、 『母の御前にて、神器が揃う、剣、珠、鏡』」 「遂に来たか、ーだが、熊本はすでに。……随伴の比叡、摩耶、鳥海、翔鶴、瑞鶴に打電、金剛に続け。と」 「ー了解!」 ー鳳翔ー 「しっかし、ハルもほんっと子供だよね。アレを使いたくてうずうずしてる」 「全くそれに同意、一人でオレンジ畑に行って収穫するんだもの。戦闘機のレーダー、各艦の対空電探、全てに反応が無い。これも烏の知恵かしら……そうなると」 「もう九州には、奴らが潜伏している前提で作戦行動が始まってると」 「帝都で騒ぎになってるのよ、九州がどんなんだか、今更よ今更」 と、鳳翔の甲板上空でバイパーとファントムがホバリングで待機しつつ状況を見据えている。 「始まりが終わり、終わりが始まる……来年の春は迎えれるかしら」 「……その意味わかんない感じの台詞、ハルの保護者の方に言われた。それ、いったいなんなんですか?」 「………ある歌の歌詞の一部よ」 上空のチェルミナートルを見上げるバイパーに習うようにファントムも見上げた ーー 「先輩、無茶です」 「ー御免ね水瀬君、私行くね」 「そんな、貴女は、もう無理しなくてもいいんですから!ーそれに今の貴女を彼が観たら」 「ー引けないのよ水瀬君。私にはもう後が無いから、それに、ヒトハナ咲かせたいし」 せせらぎの甲板に一機の高速回転翼機が、プロペラを回し始める 「ー先輩!」 「御免、ハルに合わないともう会えないの、これが、私の最後だから」 高速回転翼機(ヘリ)は甲板から離れ、上空へ飛翔、見る見る小さくなっていくヘリを見上げる水瀬。 ーー 「随分、実りのいい畑だな。摘み取ってやる!」 チェルミナートルの眼カメラがギラリと光ると、その眼前に群がる敵、オレンジの一団がクラゲの様にフワフワと漂っている
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