俺の会社の人気者

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「大丈夫ですか?私もお手伝いします!」 我に返った櫻子さんは俺の不始末の片付けに協力しようとする。 「あ、いえいえ。お手が汚れますんで、お構いなく」 そう言って手早く片付けてその場を離れようとすると…。 「あの、待ってください!」 「はい?」 素知らぬ顔で振り返ると、櫻子さんは何か思い詰めた表情をしていた。 「もしかして…見まし─────」 「見てません」 櫻子さんが言い終わるのを待たずして俺は即答した。 否してしまった。 「じゃあ何か聞いて────」 「聞いてません」 またもや早々と答えてしまう、いつもの癖で他人を遠ざける様な物言いになってしまった。 チラリと一瞥すると櫻子さんは苦しそうな表情で涙を浮かべてしまっている。 「俺、人付き合いとか苦手で、人と接点を持たない主義なんで。言いふらしたりとかしないっす」 「…」 櫻子さんは黙って俺の話を聞いてくれていた。 「それに、愚痴くらい誰でも零すっすよ。そういうの無いと人間味も無くなると思うっすからたまにはガス抜きもするべきだと思うっす」 それだけ言っても櫻子さんは俯くばかりで答えなかったので、俺は彼女に背を向け階段を降りて行った。 次の日──────────────── 櫻子さんはいつも通りの才色兼備っぷりで、仕事や人間関係に支障が出ていなかった様なので内心ホッとした。 極端に休んだりしたらどうしようと考えていたら、昨日はあまり寝れなかった。 その日の昼食も、またもや満席のだった為、仕方なくコンビニ弁当を買い屋上へやって来た。 昨日の事もあり、念の為屋上の扉を開け誰もいない事を確認してから階段に腰を落とす。 「外食先さがさなきゃな…」 モグモグと咀嚼しながら、携帯で近隣の飲食店を調べてみる。 「ねぇ、あんた…」 ぶーーーーっ!!! 俺は余りの驚きに咀嚼したものを明後日の方向に吹き出してしまった。 「な、なんすか?」 階段の踊り場には櫻子さんが立っていた。 いや、まさか向こうから話しかけてくるとは…、ここにも近づかないと思ったけど…。 「ご一緒させて貰って良いかしら?」 そんなんで足りるの?と言うほど小さい弁当を持ち上げて見せ、俺の返答を待っている。 「…どうぞ…」 横にズレて、席...っと言っても階段だが...を空けると櫻子さんは俺の隣で弁当を食べ始めた。
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