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最後に、政宗が涙を落とした。右目だけならば、涙も出る。
「政宗、心配かけたな…」
宝来の手が、そっと政宗の右目に触れる。涙は温かい。宝来は砂まみれの手を、自分の服で拭うと、再び政宗の右目に触れ涙に触れた。
「宝来、生きていてくれて、ありがとう」
宝来が、時宗と真誓を抱えて、政宗も抱き込む。
「通信設備もなくて。宇宙船からでも、オウランドまでは無理であったな。それどころか、通信可能な星もなかったし」
地元の救助の船は砂漠に着陸できず、軍部との通信も不能であった。
政宗から、次々と涙が流れて落ちていた。
「なあ、宝来。オウランドの家に戻ろう。そこで暮らそう」
「分かっているよ」
もうショーキッドは嫌であった。何度も、何もかも失う悪夢を見る。
それから一か月後。
オウランドでは、からくり屋がユカラの依頼を受けていた。
時宗も、真誓までも、ユカラの依頼を受けるようになった。
宝来の宇宙船は、王ランドを拠点とするようになり、帰って来ては、派手に政宗と喧嘩する。
茶屋町は、夫婦喧嘩は犬も食わないと傍観している。
「政宗、愛しているよ」
「知っている」
再び喧嘩が始まる。
『Naked Moon』 終
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