第1章

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 五人とも、似たような状態であった。しかし、一人の様子がおかしい。全裸ではあるが、傷はない。 「隣の部屋に服があった」 「動ける者から移動する。すぐに仲間が合流するので、地上へ向かう」  怪我の無い一人と、兵士を地上へ向かわせる。  完全に地上へ行った事を見計らい、他のメンバーは屋上へ上げた。 「飛べ。回収する」  政宗のリュックにはバルーンが詰められていた。バルーンを膨らませると、一人ずつ空へと飛ばす。  四人、完全に飛んだ事を確認すると、地上の様子を伺う。地上は陽動で行かせたのだ。一人は、スパイであろう。  茶屋町が、ベッドの二人を連れて屋上にやってきた。この二人も、バルーンで飛ばす。 「さてと、ここ男だけだったね」  残りの人質は、全て女性であった。 「残るは地下ですか…」  その前にと、政宗は地上へ飛び降りていた。追って茶屋町も飛び降りる。 「何者だ?」  屈強な男が寄ってくる。腕に覚えがある者には、ミラレスが多い。 「聞きたいことがある」  人質もなく、丸腰の天然体に政宗は見える。捕まえれば大金になるが、男たちには捕まえる様子はなかった。 「テロリストだった少年か…何か用か?」 「どうして、キリトのいう事を聞いた?」  ここでは、脅しではなかっただろう。 「金だよ。それに、協力はしていない。ここに人質を置いてゆく。好きにしていい、だけだ。それに駄賃だと金をくれた」  ミラレスの犯罪者たちは、政宗と同じように虐げられていたので、反抗してしまったという者が多かった。ビルの中で楽しんでいたのは、ミラレスとは異なる凶悪犯罪者で、ここには警官が来ないが、娯楽がないので鬱憤を晴らしていたのだそうだ。 「ここ、殺人犯が多くて、殺すつもりで楽しんでいるのだろうな…」  天然体だと、政宗は幾人もに腕や背を触られていた。茶屋町が、渋い顔で見守っている。  政宗は救護班に連絡を取ると、彼らの内部に残されたDNAを採取し、国際手配と照合するように頼んだ。 「軍部は多少の犯罪者は気にしない。これからは、働かないか?」  ショーキッドでは、ショーキッドをよく知っている兵士が必要であろう。 「まあ、考えておくよ。それより、キリト相手だろう。人質救出は、これから地下か?」 「そうなる」  地下は、地下の世界があるので、政宗には無理だと彼らは言った。 第七章 路地裏の少年
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