第1章

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 宝来が手をつけた人間を攫え。軍部とは限定されていなかった。そこで、宝来はわざと、エリート職員、政治家の子息に手を出した。その数、六人。短い時間で、よくそこまで口説けたと、政宗も呆れる。 「警察が探している。軍部には依頼がきていない」  警察を巻き込み、エリート達をも、このゲームに巻き込んでいた。宝来も、キリトもショーキッドに対する恨みは大きい。でも、このゲームには、関係のない人間でもあるだろう。 「宝来……」  政宗は、視線を外すと、黒崎を見た。 「黒崎、あと六人はどこにいる?」  残り時間は、一時間を切った。 「六人は、キリトの元でしょう」  この一部始終を、キリトは間近で見ているという。 「キリトならば、多分、北の最上部の屋上付近だろうな」  キリトは砂漠の丘から、街を見るのが好きだった。その砂漠の丘は、今は貧困街の最上部になった。 「宝来。行かないと言ったら、離婚だからな」  見殺しにするような男ならば、政宗も切り捨てる。 「分かっている」  政宗がビルを駆け上がると、先ほどの空中の足場から最上階へと降りてゆく。続いて宝来が移動すると、銃でバルーンを落とし、足場を消した。 「時間ピッタリだね。助けた人数と、残した時間」  ビルの屋上で、キリトはイスに座り、シャンパンを飲んでいた。豪華な椅子に、テーブルも用意していた。キリトは片手に、双眼鏡も持っている。 「そうだね。キリト」  政宗は、両目を閉じていた。  片目だと動けなかったのだ。政宗がポケットを漁ったが、予備の左目が無かった。  両目を閉じていても、移動には問題がないが、やはり目を使用したい。 「ほら」  宝来が、ポケットから出した目を投げていた。 「サンキュー」  生体型の、昆虫型であった。目の色は合わせてあるが、強い機能が入っていた。暫し、政宗はくらくらと揺れていた。複眼、そして分別機能付き。後ろまで見えていた。 「宝来、もう少しマシなのを持っていろよ」 「それ、きれいだったからさ」  ややメタリックな色をしていた。 「とりあえず、再会に乾杯しよう」  グラスが用意されていた。グラスの横には、冷えたシャンパンがあった。 「毒は入れていないよ」  政宗の左目でも成分は分析できる。毒は確かに無かった。 「では、いただこう」  宝来がシャンパンを手に取る。政宗も、シャンパンを手に取った。 「再び会えた事に乾杯!」
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