第1章

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 上質なシャンパンであった。 「この星は腐敗している。俺も、腐敗しているけどな。その中で、夢だったよ」  路地裏の細い道を抜けると、朽ちたビルがある。窓を見上げると、少年が二人、皿を手に持ちながら、何か話している。  ガキの頃は気付かなかったが、次第に見えてきていた。彼らは、上玉で誰もが欲しがるようになってきた。頭脳、度胸、運動能力、どれを取っても類を見ない優秀さであった。いつかは、貧困層を抜け、どこかに行ってしまうだろう。でも、その仲間であることが、誇りであった。  窓を見つめる事が、唯一の楽しみであった。 「俺の夢は、手に入れる事だったよ」  そう気付いたキリトは、何でもするようになっていた。殺しも、夢のためならば、苦痛ではなかった。 「手に入れるとかではないよ。俺達は、ここに居る。会いたければ、会いにくればいい。それだけだよ」  特殊ではない。 「そうだな。でも俺は、今は悪だよ。もうあの時間が無いように、俺も悪以外にはなれない」  どこで間違ってしまったのだろう。 「脳での、補助装置は禁止する。武器の所持は宇宙法をショーキッドに適用し、取り締まる。犯罪者の巣窟であることから、国際警察が常駐になる。ショーキッドは少しずつだけど変わってゆくよ」  劇的には変わらないが、少しずつならば変わってゆく。  キリトは微塵も動じず、ただ笑っていた。 「政宗、宝来をどう思っていた?」  唐突に聞かれて、政宗は宝来の顔を見た。  ふざけて聞いている様子ではない、多分、知りたいのだろう。 「孤児院でな、こいつ、何をしたと思う。孤児院を出る時、俺は別の奴と他の星に行くはずだった。宝来は自分の相手を殴り気絶させて、俺を騙して船に乗せた」  宝来は、知っていたのかと、そっぽを向いていた。 「全部知っていたけど、俺は宝来と生きたかった」  宝来のした事は、政宗は最初から知っていた。でも、黙って、ショーキッドに降りたのだ。 「幸せか?」  それは、修太郎も聞いていたかと思う。当時のショーキッドでも、よく聞かれたか。浮気ばかりの宝来で、幸せなのか。 「宝来と居ることに後悔なんてしたことがない。幸せは自分で掴む。俺の幸せを、宝来に全部あげる。幸せは宝来が喜べば、二倍になって返ってくる」  宝来が真っ赤になっていた。 「政宗…今の言葉は本当?」 「本当」
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