第1章

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 宝来が頷く。後悔なんて無かった。政宗は、宝来と生きた事が誇りであった。 「ならば、敵同士でいいな、政宗。俺は俺の道を行く」  道が異なるのならば、それは戦うのみで、異論もない。 「仕方がないね。それから、狩りも止めさせるよ」  でも残り時間は、五分を切った。六人、助けなければならない。 「ここに警察を呼んだ。六人の人質分の、時間は貰っていなかったな」  どこか昔の表情で、キリトは宝来を見ていた。 「こいつらは殺しておこうよ、宝来。こいつらは、狩りの常連だったよ。特に親の前で、子供を殺すのが好みのクズだったよ」  プロペラの音が、近寄っていた。ドームの中では、一人乗りのプロペラ機のようなものしか飛ぶことができない。 「逃げることをオススメするよ。じゃあな」  キリトは、迎えの飛行機から伸びたロープで、空へと去って行った。撃ち殺す事も可能であったが、それでもショーキッドは変わらない。 「政宗、これは警察に任せる」  どのみち助けられないだろうと、警察は、責任を取らせるために軍部に依頼してきた。軍部は、丁重に断っていた。まだ越してきたばかりで、任務ができない、と。責任の擦り合いに、加わることもない。  政宗は、リュックのバルーンを出すと、空へと飛んだ。砂漠からの風で、バルーンが流されてゆく。ドームの端まで飛んだ時、バルーンから飛びおりた。  貧困街から爆音が響いていた。人質が助けられたかどうかは、分からない。 「帰るか」  街のホテルに戻ると、砂だらけの体をシャワーで流した。その間に、茶屋町と黒崎が、政宗の無事を確認しに来た。二人共、遠慮もなく、シャー室を開け、政宗の無事を確認していた。 「覗きはどうかと思うけど」  男の裸では、面白くもないだろう。 「見て確認しないと、安心できませんからね」 「そうですよ。政宗さんも嘘吐きですからね。怪我も無いようで、良かったですね」  しかし、長い一日であった。二十四時間、動きっぱなしであった。 「疲れたな…」  今は、とにかく眠りたい。 「ベッド、寝室に一つなのか?」  キングサイズのベッドで、三人で転がって眠ってしまった。皆、とても疲れていたのだ。  ずっと眠っていたかったが、翌朝、部屋に乗り込んできた警察に起こされてしまった。
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