第1章

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 墓は、砂漠の中に在った。ここも、昔は街であった。砂漠は全てを砂にしていた。 「再会なんて、あり得ないと思っていたよ」  追われて、逃げた街であった。 「ここ教会でしたよ」  ショーキッドから出る前に、政宗と宝来が誓い合った教会の跡地であった。 「政宗、これからもよろしく」 「こちらこそ、よろしく」  あの切迫した夜、二人で生きる為に逃げた。 第八章 ネイキッド ムーン  宝来は暫しショーキッドに滞在になるというので、政宗は虎森丸でオウランドに帰る事にした。 「お土産を購入するかな…」  ショーキッドも鉱物の街だが、宝石類も多い。でも、時宗と真誓に、宝石を持って帰っても喜びはしないだろう。 「月の石がいいですよ」  黒崎は、貧困街にバーを造っていた。他に、ショーパブや、ソープの施設なども造っていた。一見、極悪な商売であったが、黒崎はきちんとルールを決めていた。まず、売上に対して賃金を支払うことを条件にする。当たり前のことから、決めてゆくことが重要であった。  黒崎は、無法地帯を利用して、金を儲ける方法を伝授していた。意外に受け入れられ、僅かだが歓楽街ができつつあった。  政宗は、キリヤと衝突を重ねたが、キリヤ自体も新法に対応して変わって行った。狩りではなく、無法地帯の歓楽街の作成に力を注ぎ、新しいツアーを組んでいた。 「月の石?」 「電気刺激を与えると、淡い黄色に光るのですよ。地下で使っていたらしいのですが、出所は不明。巨大なものを見つけたので、購入しておきましょう」  宝来も同じ物に目をつけていた。ベッドの下に置くのだそうだ。何でも、電気の刺激で、余計に感じると噂があるらしい。 「怪しい使い方を、させないようにしなくては…」  政宗も月の石を、かなりの量、購入してしまった。庭に置いて、防犯にしようと考えていた。電気刺激で、庭全体が光る。  他に、砂漠のサボテンの種子、サボテンで造った石鹸、糸状のサボテンで織ったマントなども購入してみた。  中でもサボテンのタワシは、政宗が好きな一品であった。サボテンのタワシを大量に購入すると、倉庫に詰める。  修太郎がやってくると、飴が人気だと紹介してくれた。飴、やはりサボテンの果肉を使用し煮詰めたもので、淡い緑色の透明なものだった。 「どこがいいの?」  どこにでもある飴であった。
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