第三章 砂漠の薔薇3

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「ユカラは殺していない。 種子と分離しなければ、死んでいる。 分離の方法は、ユカラも検討したが、見つからなかった」  政宗は足場から、下に飛び降りた。 ミラレスの戦闘体の多くは、 重力無効という能力を持っている。 落ちても、死ぬということはない。 政宗は、軽く床に降り立っていた。 「雄体は、宿主を殺さない。 排出を待てばいいだけだ!」  ユカラの下部に降り立った政宗は、 仄かに光るカプセルの中で、眠る青年を見た。 腹部は膨れ上がったままで、 内臓の中に巨大な種子がある。 種子は発芽しておらず、 ラクビーボール大の濃い緑のものが、透けて見えていた。
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