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四階…墓地や教会が並ぶ階層…丁度階層の真ん中に位置する教会にて…
「お美しい、私の愛人になっては頂けませんか?」
「あら?それは嬉しいですわ♪」
…ショウが最後の四魔将を口説いていた…
「違うだろ」
「はっ!俺としたことが、あまりの美しさに我を見失っていた…」
「あらあら、お上手ね?」
…ショウの言うことも、あながち間違いではない…
一階の階層守護者 死霊侍イナヒメ 二階の階層守護者 骸騎士バーサス 三階の階層守護者 剛鬼ゴギガ・ガガキゴは見た目からも魔族と認識が出来たのだが、四階の階層守護者は見た目はただの美女である…
「…天族か…」
セレンティーヌの言葉に四魔将はにっこりと笑顔を返してくる…
…天族…神や天使、ペガサスにユニコーン等…聖書に出てきそうな生物の事を指す…
…本来、天族は表舞台にも出てくることはないし、魔族とも相容れぬ仲なのだが…
「私は魔王様に恋をしましてですね?天界の威張ってるお偉いさんを数十人殺して堕天しましたの」
「…今の身分を捨ててまでか?」
「恋は盲目ってやつですわ♪」
…強い…さっきまでの四魔将とは比べ物にならないぐらい…
【色欲の聖処女】【妖精女王】と呼ばれるセレンティーヌ自身でも勝てるかは五分五分…いや、六:四で分が悪い…
けど、こいつは嫌いだ…恋する者に対して媚を売るような生き方…天地が引っくり返ろうと共感できん…
…それでも…
「ショウ」
「ん、頼むなセレン?」
…恋は盲目と言う点だけは共感してやろう…そう想いながらセレンは最上階に向かって行くショウの方を向くことなく双剣を構える…
「エルトロン法国 セレンティーヌ・Y・フォルカニア…妖精族だ…」
「魔王様 近衛部隊 四魔将 《魔剣天将》ジェルキア…堕天使ですわ」
…彼女は笑う…全てに恋心を抱かれても、決してなびくことはしない…己の恋愛を…己自身の恋の行方が完結するまで…いや、例え完結してもなびくことはない…
…それが初恋なのだから…
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