序章

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「…大きくなったな…」 「…いつの頃の話してんだよ…ってか離せ!」 ショウが魔王から離れると、魔王は名残惜しそうな顔をしながら言葉を続ける… 「…我はこの世の人間に怒りを覚え、魔王となった…憤怒の魔王…それが我だ…」 「…俺はとっくにこの世の人間の大半に嫌気さしてるからありえねぇよ」 「…魔王の根源は常に異なる、実際に我の前の魔王は色欲に満ちた魔王だった」 「…アンタを殺せば、どんなキッカケで魔王になってもおかしくねぇって事か?」 「…我はもう生きる意味も無い…後は死ぬだけだ…我の死により我の芸術は完成する」 …メリアナももうこの世にいないのだからと…魔王は寂しそうに呟くと白影華に何かを唱える… 「…!…外のリビングデッド達が消えた!?」 「…バーサスとゴギガガガギゴは間に合わなかったか…良い仲間を持ったな…」 「…ふざけんな!こんなあっさりと死ぬなんて、今までのはなんだったんだよ!!」 「…思い人はいるか?」 「は?」 「ん?まさか、まだ経験無しか?我とメリアナの子にしては、驚きの事実だな」 「…待て待て、勝手に決めんな!いたらなんなんだよ!?」 「…そうか…ならば我の言葉を理解する時が必ず来る…“魔王の呪いは負の念とともにある”…この言葉をな…」 そう言うと魔王は白影華に詫びるかのように頭を下げると、白影華を折り捨てる… 「…そろそろ幕引きとしよう…我を殺せ愛しき息子よ…メリアナに早く逢いたいのだ」 …ショウは魔王の言葉に暫し止まると、意を決し刀を抜く…難しい事はもう考えない…一つの時代が終わる…それだけだ… ショウはそう割り切るかのように、魔王を斬る…魔王と言えど元は人…不死でない限り斬られれば死ぬ… 斬られた魔王は仰向けに倒れると… 「…あの世で…メリアナと…見て…いるぞ…愛しき…むす…こよ…」 …最後の言葉とともに、光の粒子となってその場から消える…それを見届けたショウは煙草に火をつけ… 「…勝手にしろ…バカ親父…」 そっと呟いた…
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