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 Ⅰ1ページ  乙女はびっくりした顔で、 「まっ! 無給? 信じられない! こんな重労働を無給?」 「俺たちは己のプライドと戦っている。それでいい」 「まぁ、素晴らしい! だけどこれ程の重労働を無給でプライド? 最高の報酬こそプライドではなくて?」 「うるさい! 俺たちがそれでいいと言っているんだから、それでいい」 「まぁ! 私はあなたたちの事を思って言っているのよ。私は最高の報酬であなたたちを雇うわ。いかが?」 「俺たちは己のプライドと戦っている。それでいい!」 「私は最高の報酬で雇うって言っているのよ。不足なら私を付けてもいいわ」 「邪魔だ!」 「何が不足なの? 最高の条件でしょう!」 「何用だね、お嬢様?」 「最高の報酬払うわ」 「だから何用だ?」 「あの桜、根本から切ってほしいの」  男たちの顔が激変した。 「何だと! 俺たちのプライドを切れ? 冗談じゃない!」 「ふざけるな! 俺たちのプライドが切れるか! 冗談じゃない!」 「そうだ。俺たちのプライドだぞ! 冗談じゃない! 命がけのプライドだ!」 「何言ってるの? 無給じゃない? 私は最高の報酬払うって言ってるのよ」 「馬鹿か! お前が言う最高の報酬はな、俺たちの命がけのプライドに賭けた無給より劣るんだよ」 「そうだ、馬鹿馬鹿しい! 命の尊さを命がけで守るプライドの方がな、お前の最高の報酬よりずっと素晴らしい!」 「できる事とできない事の判断がな、人間のプライドだよ。命がけの俺たちのプライドはな、お前の最高の報酬よりずっと素晴らしいって事だよ」 「何言ってるのよ。無給より最高の報酬の方が素晴らしいわよ! 誰でもみんな、最高の報酬求めているのよ!」  男たちは乙女を厳しい目で見つめた。 「俺たちはな、やっていい事とやってはいけない事の判断もできない程、馬鹿じゃない。どんな最高の報酬よりな、プライドを選ぶよ」 「そうだ! 命がけのプライドを守り通す事が、俺たちには最高の報酬なんだよ」 「その通りだ。お前の最高の報酬よりな、命がけでプライドを守る無給の方が値打ちあるんだよ」 「何言ってるの? 頭確か? 最高の報酬より無給の方がが値打ちある? 頭確かなの? 最高の報酬がプライドを守る、最高の手段でしょう? あなたたち、最高の報酬求めてここに来たんでしょう?」
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