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「私の一言でお前たちの体は焼け焦げになる。命がけで来たのだから仕方ない。焼け焦げで帰るか?」
「くそっ、冗談じゃない! こんな所で死んでたまるか!」
「命がけの情熱は美しいよ、素晴らしい!」
「何だと! 冗談じゃない! 放せ、くそ!」
「花の妖精たち、この者たちを炙ってあげなさい。善が出るか、悪が出るか」
侵略者たちは恐怖に怯え始めた。
「放せ、くそ! 放せ!」
「この者たちの心から善が出る事を祈るよ。さぁ」
「村長様、私たちは命の尊さに対して、行き過ぎた事は出来ません。ご了承下さいませ」
「善行へと導く運命にはな、時に度を越えた熱が必要な時もあるよ」
「村長様、それは結果論です。私たちにその権限はありません」
「分かった。お前たちの善意に任せよう」
侵略者たちは怯えた声で、
「待て! 冗談じゃない! こんな所で死んでたまるか! くそ! 放せ!」
花の妖精たちの声、
「運命の炎よ、冷めて凍える心に温もりを。凍てつく大地にはいかなる花も咲きませぬ。全ての花は温もりあってこそ。凍える心に花を咲かせよとて無理な事。花を咲かせるには温もりあっての事。さぁ運命の炎よ、汝の意志にて自らを焼き焦がすがいい」
運命の炎は緑色から青に変わって炎を大きくした。侵略者たちは戦意喪失で叫んだ。
「分かった! 待て! わしらは出て行く。冗談じゃない、こんな所で死んでたまるか!」
「運命の炎よ、汝の意志で自らを焼き焦がせ。お前の意志に命の尊さへの温もりあるなら、凍てつく心の氷を溶かせ。溶けた水が洪水を起こすなら、それは仕方なき事。心の運命は花を咲かせる事が、全ての大前提なれば」
運命の炎は熱を帯びた。侵略者たちは完全敗北で、
「止めろ! 分かった! 死にたくない!」
「花の咲かない運命があってはなりませぬ。全ての心は花が咲いてこそ、命の尊さを包む明かりが灯る。さぁ運命の炎よ、自らの意志で焼け焦げるがいい」
運命の炎はさらに大きくなった。侵略者たちの声、
「止めろ! 止めてくれ!」
花の妖精たちの声、
「心の美しさ無しに、命の尊さを包む明かりは灯りません。花々の美しさは命の尊さを飾る為。命の尊さ無しに、心の美しさ無しに、地上の安らぎはありません。命の尊さ、心の美しさは地上の永遠の宝石です」
しばらくして運命の炎は消えた。
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