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 6ページ  侵略者たちは動かず棒立ちになったまま。住民たちはそれを不安気に見つめていた。村長もそれを見つめて、 「花の妖精たち…」 「何でしょう?」 「少々やり過ぎた?」 「分かりませぬ。運命の炎を信じるだけです。祈るだけです」 「心は美しいもの、素晴らしいものに感動して善への光に導かれる」 「そうです。命の尊さを包む光に、心は感動して導かれます」 「それならば花の妖精たち、美しいものを見せてあげよう。素晴らしいものを見せてあげよう」  花の妖精たちの声、 「命の尊さを永遠に包む美しき自然よ、汝の美しさを表現するがいい。永遠に命の尊さを輝かせる運命よ、自らの思いで心を焦がすがいい。心焦がす情熱が感動へと導く時、心の運命は命の尊さを包む明かり灯さずにいられぬものなれば」  吹き上げる噴火に変わって蜃気楼が現れた。緑の草原、花一杯、中央に川。その川を中心に草原が寄り合って空高く、色とりどりの光に変わって舞い上がって行った。空一面光の芸術に変わった。そして光の芸術のカーテンのような光景が見られた。誰もが感動の思いだった。光の芸術は続いた。  「素敵! 素晴らしい! 村長さん、心から感動よ、素晴らしいわ!」 「村長さん、私も心から感動よ。素晴らしい!」 「私もそう思うよ。光の芸術だ、素晴らしい! 心から感動できる場面に出会えた時、我々は生きる素晴らしさと命の尊さに体面できるんだ。どんな運命にも感動はある。命を大切に助け合えばな。花の妖精たち、運命は愛だ。そう思えるよ」 「運命は愛、そう思いたいです。村長様、運命の炎は神様の愛の美しさに変わりました。心により美しく、命により優しく、されど神様の愛は時に度を越す。神様の愛は永遠のエネルギーを保有する故に、時に度を越す災害をもたらします。それは仕方ない事。最善の愛も時には害を及ぼすのです。みんなで命助け合いましょう。みんなで心支え合いましょう。命の尊さに愛を捧げ合えば、神様の愛は安らぎと平和の明かり灯すでしょう」  運命の炎の束縛から解放された侵略者たちは、光の芸術に我を忘れて感動したまま動かなかった。光の芸術は過去の全てを消し、未来へと導く光のように思えた。その光は善に満ちている、心からそう思えた。彼らは花の妖精たちの言葉に我に返った。光の芸術を前に、彼らの心から過去が感動の中に消えていた。光の芸術への感動だけが満ちていた。
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