【2】動物霊の通り道になっています

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☆ 気味が悪い。 心から気味が悪い。 なんだここは。 この部屋は常にじめじめしている。 朝も昼も夜も関係なく日当たりは悪いし風も通らない。 「で、あれから一週間になるけど、何か収穫はあった? 電話ないけど」 「何もないです。夜になるとすごく寒くなる以外何も怒らないです」 「寒くなるならもう起こってるじゃない。いる証拠よ。夜中中しっかり起きてるんでしょうね」 「もちろんです。言われた通りに起きてます。でも、どんなに暖房を入れても、何枚も着込んでもぜんぜん暖かくならなくて」 「だから、それは既にそこに私の探し求めているやつが来ているからよ。視るのよ。気合い入れて視なさい。さっさと尻尾を掴みなさい。いいわね」 尻尾を掴めと言うのであれば、そのやり方を提示して欲しい。 命令するだけじゃこれからどうしたらいいのかわからないってものだ。 でも、この女は『動物の霊を追え』って言っていた。 初めてここに来た日、夜に一回だけ着信があった。 その時に言っていた。動物の霊が通るから、出たら秒で電話することって。 そもそもの話で、動物霊何てものが本当にいるのか。 狐や狸なら昔から言われているからいるのかもしれないけれど、この女が言っているのは猫だ。猫の霊なんて未だかつて聞いたことがない。
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