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同じようなことが一週間続いた。
感じることしかできないけれど、毎日くるソレは同じもののように思った。
最初の二、三日は怖くてびびっていたけれど、流石に一週間同じことが続くと慣れてくる。
それにもし呪おうとして取り憑いていたり、殺そうとしているのならばさっさと殺すだろう。でも、そういうことはしてこない。ということは、他に目的があるんじゃないか。だったら自分も視れるのかもしれない。
夜中の二時を回った頃、いつものようにソレは現れ始めた。
まずはいつも通りに部屋中が凍りついたように寒くなる。
スと左の角に黒い影が通る。
黒くて長細い尻尾のようにも見えた。
猫か。
来た。
背筋が凍る。
何かが後ろにいる。覆い被さってくるようにじわじわと恐怖を忍ばせてくる。
唾を飲む。布団を掴んでいる拳をギュッと握る。
背中を冷たい何かが這う。
ダメだ。怖い。目をギュッと閉じた。
布団を頭から被ってしまえばそれ以上ソレは何もしてこない。
時間が過ぎるのをいつも通り待てば朝になる。
そしていつの間にか消えてくれる。
でも。
終わりはない。
遅かれ早かれ対面することに変わりはないのだ。
だったら。
意を決して勢いよく振り向く。
そこには、ソレは、その姿は。
はっと大きく息を呑んだところで巨大な黒い塊に飲み込まれた。
一瞬の出来事だったんだ。
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