【2】動物霊の通り道になっています

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「それで、あいつはあそこに住み着いてそろそろ一か月ってところでしょ? そろそろだね」 「そろそろなんなんですか? そろそろ何かが来るってことですか? そろそろやばいってことですか!」 「湖ちゃんさ、一回肥溜めに落ちてみたら?」 「なぜそこで肥溜めなんですか。ひどいですよ」 「その働いていない脳みそは肥溜めと同じじゃない。ぐちゃぐちゃ」 「白子さん!」 いくらなんでも言い過ぎってもんだ。そこまで働いていないわけではない。たぶん。ちょっと遅いだけだ。 ていうか、そのにっこにこしている笑顔が怖い。 わざと怒らせて楽しんでるんだ。性格の悪さが飼い主にそっくり。 「とりあえずそうね、早めにたいちゃん呼びましょ」 「出雲さん来るってことは、やっぱギリギリなやつじゃないですか」 「あんたね、あんのクッソ臭い中にあたしがいたらどうなると思う?」 どうなると言われても、鼻が麻痺するくらいじゃないのか。それに化け猫なんだから臭いくらいなんてことないだろうに。 「あんたと一緒のレベルになっちゃうってことよ!」 ぜんぜん考えてもなかったことばが私の頭を打ち付けた。 「私は臭くないです」 「今日の夜辺りには帰ってきてもらいましょ」 「聞いてます? 私は臭くないです」 「でもそうね、明日だったら確実かしら。今夜は泳がせといてもいいわね。私の匂いだって残ってるし警戒されたら面倒くさいわ」 「私は、」 「うるさいわねさっきから。さ、そうと決まればたいちゃんに連絡よ」 何事もなかったかのように一蹴されたのだった。
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