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「それで、あいつはあそこに住み着いてそろそろ一か月ってところでしょ? そろそろだね」
「そろそろなんなんですか? そろそろ何かが来るってことですか? そろそろやばいってことですか!」
「湖ちゃんさ、一回肥溜めに落ちてみたら?」
「なぜそこで肥溜めなんですか。ひどいですよ」
「その働いていない脳みそは肥溜めと同じじゃない。ぐちゃぐちゃ」
「白子さん!」
いくらなんでも言い過ぎってもんだ。そこまで働いていないわけではない。たぶん。ちょっと遅いだけだ。
ていうか、そのにっこにこしている笑顔が怖い。
わざと怒らせて楽しんでるんだ。性格の悪さが飼い主にそっくり。
「とりあえずそうね、早めにたいちゃん呼びましょ」
「出雲さん来るってことは、やっぱギリギリなやつじゃないですか」
「あんたね、あんのクッソ臭い中にあたしがいたらどうなると思う?」
どうなると言われても、鼻が麻痺するくらいじゃないのか。それに化け猫なんだから臭いくらいなんてことないだろうに。
「あんたと一緒のレベルになっちゃうってことよ!」
ぜんぜん考えてもなかったことばが私の頭を打ち付けた。
「私は臭くないです」
「今日の夜辺りには帰ってきてもらいましょ」
「聞いてます? 私は臭くないです」
「でもそうね、明日だったら確実かしら。今夜は泳がせといてもいいわね。私の匂いだって残ってるし警戒されたら面倒くさいわ」
「私は、」
「うるさいわねさっきから。さ、そうと決まればたいちゃんに連絡よ」
何事もなかったかのように一蹴されたのだった。
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