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「仕方ない、病院に行って取ってもらうしかないな。このまま出るのは恥ずかしいから、何かでカムフラージュしよう」
保険証を探して、頭にはブラウンのカウボーイハットをかぶる。
服も、いつか合コンの誘いがあったら用に買っておいた、勝負服の革ジャンに迷彩模様のパンツ。ひとつひとつ別に見れば結構、洒落たデザインなのだが着こなしがおかしかった。
でかい外人さんが着るなら多少様になるかもしれない。
さらに、プラスして革手袋がついた。
「これで、なんとかお面をカバーできるかな? 恥ずかしいけど、取れないからしょうがないし……」
このお面をつけたまま、外に出て病院に行ってはがしてもらうつもりだ。
恥ずかしいが、こんな格好をしていたら、周りは誰も自分だってことはわかりゃしない。自分はある人気エアーバンドのドラムになったつもりでいた。
しかし、さすがにドアを開けてからの第一歩が踏み出せない。
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