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「何、してんだよ俺は……このままじゃ、ずっとお面かぶったままのお面ライダーだぜ……いや、免許すらもってねぇし……自転車……も昨年盗まれて買ってない」
ようやく一歩目を踏み出したのが、それから二十分後だった。
「変身ごっこにしても、こんな海外の土産物でなにがカッコいいんだよ。誰にも会いたくないなぁ」
すると隣のおばさんがビニール袋を持って歩いていた。スーパーの帰りであろう。
良夫はサッと身を隠す。
「やばい……こんな姿見られた日には即、回覧板で回されるぜぃ。それも生ゴミの日のお知らせの下に……」
だが、急がないと、病院が終わってしまう。
様子を見ながら、うつむいてゆっくりとすれ違う。
「大丈夫。帽子かぶってるしいつもとは服装ちがうし。バレないバレない」
おばさんは良夫を見た。
「あらあら、隣の田中さんやないの。どないしたん?」
バレてるし……。
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