第1章【誕生】

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 次の日、良夫は会社を休んだ。  体調不良を理由に……。  ただ外に出るのが怖かっただけだ。  また意味もなく、絡まれたらどうしようという不安が良夫を襲う。  これじゃあ、ダメだ。  わかってはいるが、もう一歩気持ちが前進しない。  壁にもたれかけ、うずくまったまま時がすぎる。  午後5時。  工場の定時の時間。  明日もこのままじゃ、仕事に行けないし生活もできない。  なぜ、あんなガキ連中に舐められなきゃならないんだ。  良夫は鏡で自分の顔を眺めた。  笑いたくなるような酷い顔だ。  大きくため息をついた後、ふと、何気なしに昨日の昼に、勝重から貰った紙袋に目を向けた。  中にあるお面を手に取り、勝重が言ってた事を思い出した。 『身に着けた者には幸運が宿るんだと。また勇気と力がみなぎる……』 「お面なぁ……そう言えば、子供の頃は正義の味方になりたかったんだ。夜店で買ってもらったヒーローのお面をつけて遊んだら、自分がヒーローになった気がして、勝てもしないのにガキ大将に向かっていったことがあったなぁ……。あれって、自己暗示にかかるようなもんだろうな」
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