第1章【誕生】

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 良夫はお面を置いた。 「ガキじゃあるまいし、いまさらお面遊びなんかできるかって!!」  だが、人形集めはしている。  とりあえず、せっかくいただいた物だ。  だから、なんとなく……。  着けてみた。  サイドには帯状の紐があり、後ろで留められる。  鏡を見てみる。いかにも神々しく、歌舞伎のくまどりのように色鮮やかで、半開きの口には牙が見える。見方によれば、鬼にも見えるし、猿にも見える。 「まあまあ、いいんじゃない? なんか……カッコいいじゃないのさ~」  良夫はふざけて、いろいろなポーズをとったあと、面をはずそうとした。 「ん? ありゃ?」  なぜか取れない。 「おかしいぞ? あれ? あれ? え……困ったぞ……マジ」  面は良夫の顔にピッタリ張り付いている。紐をほどいても取れない。 「まさか、呪われたお面じゃないだろなぁ……無理やり取ったら顔剥がれるとか……」  ゆっくりと両手で面をつかみながら、ゆっくり引っ張ってみる。 「イテテテー! なんだよこれ、まじでシャレにならんだろ!! なんでこんなにひっついてんだよ……やばいだろ……くそ、なにが幸福だ! 勇気だ! 嘘つきやがって騙しやがって勝重のやつ!」  石鹸水を塗る。油を染み込ませる。いろんな方法を試みたが、どれもビクともしない。
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