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良夫はお面を置いた。
「ガキじゃあるまいし、いまさらお面遊びなんかできるかって!!」
だが、人形集めはしている。
とりあえず、せっかくいただいた物だ。
だから、なんとなく……。
着けてみた。
サイドには帯状の紐があり、後ろで留められる。
鏡を見てみる。いかにも神々しく、歌舞伎のくまどりのように色鮮やかで、半開きの口には牙が見える。見方によれば、鬼にも見えるし、猿にも見える。
「まあまあ、いいんじゃない? なんか……カッコいいじゃないのさ~」
良夫はふざけて、いろいろなポーズをとったあと、面をはずそうとした。
「ん? ありゃ?」
なぜか取れない。
「おかしいぞ? あれ? あれ? え……困ったぞ……マジ」
面は良夫の顔にピッタリ張り付いている。紐をほどいても取れない。
「まさか、呪われたお面じゃないだろなぁ……無理やり取ったら顔剥がれるとか……」
ゆっくりと両手で面をつかみながら、ゆっくり引っ張ってみる。
「イテテテー! なんだよこれ、まじでシャレにならんだろ!! なんでこんなにひっついてんだよ……やばいだろ……くそ、なにが幸福だ! 勇気だ! 嘘つきやがって騙しやがって勝重のやつ!」
石鹸水を塗る。油を染み込ませる。いろんな方法を試みたが、どれもビクともしない。
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