第1章

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「ごちそうさま」 と二人同時に両手を合わせた。 「秀樹、最高においしかったよ」と彼女は満足そうに秀樹に微笑む。 「当たり前だろ」と秀樹は洗い物をするため立ち上がろうとすると、彼女が「いいよ。今日は私がするね」とそれを制した。 「明日の予定はなにかあるのか?」 秀樹が洗い物をする彼女に尋ねると彼女は水を止めた。 「あるよー。明日はね。テニスを教えてもらう日。その後に、美咲とお茶する予定だよ」と言い終わると彼女は再び水を出し、洗い物を再開した。 ちなみに美咲は彼女の唯一と言っていいほどの友人だ。完璧を求める彼女にとって気の許せる友人を作るのは難しい、というよりもほぼ無理なことは秀樹も知っていた。 「テニスか……」と秀樹は呟き、そんなやつ居たのか?と首を傾げる。が、俺が知らないやつが居てもそれは仕方ないか、とお茶を飲む。 秀樹は、今は何人いるのだろうか、と考えてみたが、10人ほど思い浮かべ、数えるのをやめた。おそらく俺の知らないところで増えたり減ったりしているのだろう。無駄なことをするべきじゃないな。大切なのは…… 「終わったよー」と彼女が戻ってくる。 大切なのは少しでも彼女との時間を楽しむことだ、と秀樹は彼女に向かって笑顔を見せた。
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