第1章

3/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
*** 「できたぞー!!」 野太い声で秀樹が彼女を呼んだ。 「ありがと」と彼女は笑顔を見せ、わーおいしそう、と続ける。 「すごいわ。?完璧じゃない」 小籠包にエビチリ、それに彼女が好きなカニ炒飯だった。食欲をそそる匂いが彼女を包む。 「食べてから言ってくれよ。それに」 秀樹はニヤリと笑い、奥からスープを持ってくる。 「フカヒレじゃない!!」 彼女は秀樹が思った通りの表情を見せた。この表情を見るとき秀樹はいつも、この瞬間のために生まれたんだ、と強く思う。 「ホント、完璧」 「だからそれは食べてから決めてくれよ」 秀樹は笑顔で応え、一緒に、いただきます、と口を揃えて食事を始めた。 「それにしてもいつの間に模様替えしたんだ?」 秀樹はスープを美味しそうに飲む彼女に尋ねる。 「ええ、昨日したのよ、ちょっと飽きちゃったから」 「そうか、なかなか良いな」と誰がしたのかは秀樹は尋ねなかった。聞きたくも、聞く必要もないことだ。 そういえば、彼女の雰囲気もいつもと違うことに気付く。どうやら化粧を変えたらしい。 「あ、気付いた?」と彼女は秀樹の表情の変化を見逃さなかった。 「ああ。化粧、変えただろ」 「正解!」と、秀樹、良く気付いたねー、とにっこりと笑顔を見せる。 秀樹はもちろん、誰にその化粧を教わったんだ、とは訊かなかった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!