二つ目の真実

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普段表に出ているのは、優しくて誰からも愛される好青年の慶吾よ。 そしてもう一人は、ピアノやチェロの天才的な才能を持つ気難しい彼。 それから中学生のまま時間を止めたような甘えん坊の幼い彼。 私が始めて慶吾に会いに行った時も、最初はその事を知っている私でさえ、それには気付かない位彼は自然にそれを使い分けてた。 でももう一人いたの。 我儘で自分の思いどうりにならないと知るとそれを排除しようとする恐ろしい彼が・・ そして一番恐ろしいのは、他の人格がした事をその他の人格が覚えていない事・・ 父はなるたけ慶吾を外へ出さずに育てたと言ったわ。 でも、彼は自分の部屋から見える家の貴女に目を付けた。 父は貴女を守る為に慶吾をアメリカに留学させたのよ。 向こうなら東洋から来た男に近付く女は少ない。 まして飛び級して入学した大学なら、周りは彼を子供としか見ない。 父の計算は正しかった。 たったひとつ、私の存在を除いて・・ 私は慶吾を知らなすぎた。 父に反対されていた手前、姉だとは名乗れない。 従姉だと言って慶吾に会った。 たとえ自分の卵子ではなくても、お腹を痛めて産んだ慶吾が愛しかった。 それに私は二度と子は望めない。 私には慶吾だけだった。 彼は時々優しくなったり、子供のように甘えて私を幸せにしたわ。 彼が18歳になった誕生日、彼は自分の部屋に私を招いてくれた。 其処には金髪の若い女性がいたわ。 恋人だと言って慶吾は彼女を私に紹介してくれた。 嬉しかったわ、最初は・・ でも、彼女は慶吾を愛したんじゃなかった。 彼女が愛したのは、K・Kとしての彼と、彼のお金・・ 慶吾はその事を知ると彼女に暴力を振るい出した。 彼女が逃げ出さないようにコンサートで留守にする時には精神病院に入院させて、自分では自由に出られないようにしたの。 私が気付いた時には、彼女は自殺した後だった。 それからは彼に女性を近付けない為に色々な事をしたわ。 でも彼はまた恋人を作った。 今度の娘は浮気性で他の男と慶吾の間を行き来したの。
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