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しつこく携帯が鳴る。
手探りで画面の時刻を見た。
07:22分・・
「え~、ん~もう、誰~」
見覚えのない番号だ。
枕の下に入れて目を瞑る。
一度切れたと思ったのにまた鳴っている。
ため息を吐いて電話に出た。
「はい・・」
「あっ、寝てた?ごめん」
「ごめんじゃないわよ~、誰?間違い電話なら殺すからねっ!
何よ、まだ7時20分じゃないの」
私は寝起きが悪い。
実家にいた頃は家族はその事を嫌がって私がどんなに寝坊しようが誰一人起こしには来ない。
学生の時は遅刻の常習犯だった。
「あはは、変んないね君。
そうか、そっちは朝の7時20分か」
「はあ?誰よ?変んないって・・」
「僕?慶吾」
「けいごぉ?ケイゴって、慶吾?」
私はベットから飛び起きた。
「あはは、ケイゴって、慶吾?はないだろう本当に・・」
桐生慶吾、私の中学のクラスメートで初恋の相手だ。
「奈々美、君、今何してるの?仕事は?
もしかして結婚・・は無さそうだ。
この時間でも寝られるって事はまだ独身か?
それともバツ1か・・2?」
「やめてよ、まだ一人。
バツなんて付いてないわ」
「あはは、それは失礼」
「久しぶりねどうしたの?何か用事?」
20年ぶりだった 。
「ん?・・
明日日本に帰るんだ。
暫くいる心算だから・・
会えないか?」
「えっ?私と?」
「嫌か?」
「嫌じゃないけど・・
ああ、あれ?昔と姿が変ってて他の人とは会いたくないとか?」
「え?ん~ん、変ったと言えばそうかな?
でもそんな理由じゃなくて日本に帰ろうと思ったら一番に君の事を思い出したんだ。
だから」
「ウソっ、うれしい。
じゃ、会っちゃおうかな?」
「ははは、うん、会っちゃいなよ僕と・・
何処にする?」
「明日・・か。
良かったら迎えにいこうか?
空港に」
「本当?来てくれるの?」
「いいわよ、嬉しい?」
「ああ、荷物が山ほど有るんだ」
「え~っ、私を荷物持ちにする気?」
「あははは、そんな気はないよ。
本当に君と話してると幸せな気分になるよ」
彼はまだ笑っている。
「メルアド、二年前と同じ?
いっしょなら到着時間を入れるけど」
「うん、同じ・・
って、そう言えばこの番号誰に聞いたの?」
「君」
「私?」
「うん、二年前の年賀状に書いてあった。
電話してね~って。
アドレスも一緒に」
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