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言いようのないもやもやが、胸の中に広がる。
俺の隣で、ダンサーたちが、ショットグラスに火をつけて遊んでいた。
俺は、まだ火が灯される前のショットグラスの一つをひっつかむ。
端から立て続けに、ずらりと並んだショットグラスの中身を空けていった。
無心にグラス傾けていると、エキサイティングなショーでも見るかのように、
ギャラリーができた。
俺の胃に収まっていくウォッカに賞賛の声が沸く。
もっと飲めと囃子立てられたが、喉が焼けるほどに熱いし、
頭は割れそうで、しかも眠気まで襲ってくる始末だ。
「ストップ」
グラスに注ごうとする細長いスティールの注ぎ口を、
手で制した。
視界の端にいる長い脚に視線が向く。
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