第1章

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研究者とは愛想がない。多分、必要としていないのだろう。 まぁ、僕も他人にそんなことをいう資格はない。僕自身も愛想がないと言われ、幾つもの仕事をクビになってきた身だからだ。 そう考えると僕は研究者向きなのかも知れない。まぁ、知力が高ければの話だが。 ここではその愛想がない人が多いおかげか、僕の愛想がないのも気にされていないのか、クビにならずにいる。 そんな中、彼女は特別だった。いつも笑顔で研究者になるくらいだ、頭もいいはず。才色兼備という言葉は彼女の為にあるのだと思ってしまうほど、彼女は完璧だ。 だからといって特別な想いは全く無い。 どうやったって手に入らない華は伸ばすだけで虚しくなる。愛でられるだけで十分だ。 もうすぐ退勤時間だ。いつもなら彼女も帰る時間なのだが、その姿はない。多分、徹夜で研究だろう。 僕はふぅと、一息ついて立ち上がった。 .
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