第1章

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気が付くと何処かに座っていた。正確には座らされている。 ここに至るまでを振り返る。確か、仕事が終わり、帰ろうと研究施設のドアを通った所までは思い出せたのだが、以降は思い出せない。 つまり、ここに至った理由は分からない。 辺りを見渡そうにも、ご丁寧に手足、さらには腰や胸、頭まで拘束されて身動きは取れない。 「起きましたか?」 後ろから聞き覚えのある声がした。姿を見なくとも分かる、彼女だ。 正面にやって来た彼女は白衣を着ていて、いかにも研究者という感じだ。 「こんにちは」 いつもとは違う挨拶。昼間に会うことはなく『おはよう』と『お疲れ様』としか、挨拶は交わさなかったから、何か不思議な感覚だ。 .
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