第1章

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でも、彼女がここにいるということは僕を連れてきたのは彼女ということになる。 「今日はどのようなご用件ですか?」 つい癖で、仕事のように訊ねてしまった。 「貴方は心臓に痛みを感じたことはありますか?」 彼女は気にしていないようだ。俯きながら聞いてくる。 「いいえ」 深くは考えず、即答する。 「そうですか…」 この質問が僕をここに連れてきたことと関係あるのだろうか。 「私は貴方を見るだけで心臓が痛くなります」 一呼吸入れてから、どうしてでしょうか?とまた聞いてくる。 さぁ、それは僕には分からない。だから、知らないですとだけ答えた。 .
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