第1章

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突然だが、俺の幼なじみは完璧だ。 容姿端麗、頭脳明晰、運動神経も申し分ない。 おまけに風紀委員長と生徒会長を兼任なんて学園始まって以来の偉業まで成し遂げているのだ。 当然、性格も優しくて気丈で、非の打ち所がない。 ここまでスペックが詰め込まれた人間もそういないだろう。そしてそれは俺も同じだ。 ん? お前そんなイケメンなのかって? んなわけあるか。そうだったら良かったけどな! って、まあそれは置いといて話を戻そう。 俺のスペックは至って普通だ。普通以下。 だからこそこんな高スペックな幼なじみが無条件で隣にいるという現状がもはや完璧なのだ。 だってな、考えてもみろ 「ゆーじ、聞いてるの?」 これもはや漫画やアニメレベルの神ポジションだぞ? 完璧な幼なじみと普通以下の男子高校生。 世の中どこ探してもこんなリアルラノベ状態は他にないだろ。 まあ、でも…… 「ちょっと、ゆーじってば!!」 「うおっ!」 「やっと戻ってきた! もう、すぐ思考の迷宮にフェードアウトするんだから」 「わりぃわりぃ。…で、なんだって? また告白されたって?」 「うん、今度は隣のクラスの子にね」 そう言ってまた話し出した幼なじみの会話に耳を傾ける。 ここまでは完璧だろ? もう上目遣いの破壊力とかヤバいだろ? けどこれで終わらないのがこの女のヤバいところだ。 そう、ここから彼女は本領を発揮する。 そして今日も…… 「でね、私女性同士の恋愛感情って興味があるの」 彼女の探求が始まった。
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