第1章

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完璧な幼なじみ、白石紫音(しらいし しおん)がいつからこんな探求心旺盛な知識欲バカになったのか、俺はさっぱり思い出せない。 家は隣で生まれた頃からそばに居たはずなのに、気づけば紫音はいつだって「興味がある!」とガキみたいに目を輝かせて突っ走っていった。 幼稚園の時はやれ虹の根元を探すだのヒマワリの種を分解するだのでまだ可愛げがあった。周りも微笑ましく見ていられるレベルだ。 だが小学校に上がる頃にはそれは笑えないレベルへと変貌を遂げていた。 ある時は煩く吠える犬を見て原因を突き止めると包丁片手に解剖を試みたり、ある時は爆弾って簡単に作れるのね!と小型の爆弾を作ってみせたり(あれはマジで殺されるのかと思った…) とにかく、そうして白石紫音は着実に奇人変人への階段を上っていったのだ。 それなのに何故今まで誰にもそれがバレなかったのかというと、 「今度はそうきたか…勘弁してくれ」 それはひとえに、俺の努力の賜物と言えるだろう。いや、マジで。 苦労してんだよ俺だって…。 つーかコイツはまたなんて面倒なもんに興味を示してるんだか…とりあえずやめさせよう。 「お前に恋愛感情はないんだろ? ならやめとけ、相手に失礼だ」 「それでもいいって相手は言ってるけど?」 おいこら余計なこと言うなよ馬鹿野郎。 「それに私、同性愛者の心理状態には前から興味あったし、付き合うのは全然アリよ」 いや別に俺だって人それぞれだし真っ向から否定はしないが…コイツの場合話はべつだ。
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