23 異界の人間

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 はじめは人間の腕かと思ったが、その汚いまだらになった灰色の肌、異様なほど長い指と爪――そして何よりも、そこから立ちのぼってくるアンモニアみたいな刺激臭が、そいつが餓鬼だということを示していた。 (これが……異界の扉が開いた瞬間なのか?)  オレははっとした。  そういえば、餓鬼とはもう何度も戦ってるのに、奴らがあっちの世界から来るところを見るのは初めてだ。  餓鬼は、早くこっちに来たくてしょうがないようで、しきりに手をバタつかせていた。  宙に空いた「穴」は、ゆっくりではあったが確実に大きくなっていき。穴がある程度の大きさになると、餓鬼は、そこにグイッと頭と肩を突っ込んできた。  そして、かなり強引に穴をくぐり抜けると、そのままみっともなく地面に落っこちた。
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