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穴の縁に片手を引っかけ、つかんだ男ごと自分の体を引っ張り上げると、向こうの世界に帰っていった。
姿が見えなくなっても、男の悲鳴はしばらく聞こえていたが――やがて、ふっつりと消えた。
悪鬼は、こっちの世界の動物と同じように獲物を食うが、餓鬼は、異界に持ち帰った獲物の「精気」を吸い取るらしい。
餓鬼がどうやって精気を吸い取るのか、吸い取られた人間がどんな死に方をするのかはわからないが……考えただけでゾッとする。
宙に空いた穴が完全に消えてしまうと、サレストはやけに満足そうな顔で祭壇に近づき、そこに残されたヒモを片づけようとした。
――そのとき。
「やはり、あなたの仕業だったんですね」
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