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しかし、敵もそれくらいではあっさり倒されてくれない。視界が開けた先にいた敵に一希は、もう一度魔法を放つ再び視界が閉ざされた隙に敵の後ろに回り込み、杖を横に力一杯振りかぶる。
手応えはあった、人に殴りかかった様な肉と骨にぶつかる感触。
「ひぃ」
気持ち悪い。けれど、その攻撃によって身体があらぬ方向に曲がり沈黙した『アリス』にさらに、吐き気がする一希。
「っう………」
胃からせりあがるものをなんとか抑えながら、倒した後の処理をする。
まずは、魔法でアリスを分解してアリスの元である力を奏に貰っていたハート型硝子細工に詰める。
「リリース」
そこまで終われば、後は結界を解き変身を解き、ふぅと一希は一息つくそんな一希の後ろから拍手が響く
「お疲れさん。やれば出来るじゃねーか、お嬢ちゃん」
「か、奏さん」
「どうだった?初めてアリスを倒した感想は?」
「……気持ち悪かったです。」
振り返ると、拍手の主である奏。ニヤニヤと笑いながら松葉杖をつき現れ、初戦の感想を聞かれた一希は、素直に答えると不思議そうな顔をする奏
「あぁ?お嬢ちゃんの戦い方なら、魔法で何とかなるはずだぜ?」
「………最終的に殴って倒しました。」
「それで、生の感触味わって気持ち悪いってか。バカだなー」
本来、一希が戦うスタイルとしては魔法に頼りきった遠距離型。まず、一希がやった直接相手に手を下すことはないのにも関わらず、咄嗟の判断なのか?相手を殴ることで倒した。つまりは、その殴った感触を味わったのだ。奏は、ほんの一瞬、哀れむが
「まぁいい。この感じで次からも頼むわ。んで、俺の渡したハートが溜まったら連絡くれや」
「わかりました。がんばります」
「おう。せーぜい頑張れくれ、あーそれともうひとつお嬢ちゃんに紹介したいやつがいる。」
すぐに元に戻った奏は、一希にこの調子で頑張るよう言うとその場を去ろうとしたが、思い出したかの様におーいと誰かを呼ぶ
「おっそーい!!奏ってば忘れてたでしょ!?」
「すまん、すまん。最終的に呼んだんだからセーフってことで」
「………今度、駅前のアイスおごって」
「へーへーわかりました。だから、透ちゃん自己紹介」
「了解。私は、十月透(とおつきとおる)。あなたと同じ魔法少女よろしく」
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