第1章

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腰まで伸びたみごとな金色の髪に、強い意志が宿る紫色の瞳。一希と違いブレザーの制服を着こなす少女.……… 「あんたの名前は?」 「!!あ、私は、香月一希です。よろしくお願いします」 「透ちゃ~ん、高圧的すぎだぜ?お嬢ちゃんがいつも以上に畏縮(いしゅく)しちまってら」 「うっさいわね!私は、これが普通なの!」 見た目の通り気の強い透に畏縮する一希、それをニヤケながら透に注意する奏。1人増えただけで寂しい裏路地が賑やかになる 「知ってんよ………っと透ちゃんのせいで話がそれた。お嬢ちゃん、こいつが今日からお前の先輩だ、色々学べ。1人でやらせて毎回吐かれても困るからな」 「はぁ?なんで吐きそうになるのよ??というか、話をそらしたのは奏よ」 「分別出来てねーんだよ。人と『アリス』を………そうだったけか?」 「そうよ!.………じゃあ、明日学校が終わったらここに来て。勿論、寄り道せずによ!」 「はい!」 優しいのやら、厳しいのやらわからない奏は、一希に改めて透を紹介し。透は、白い何かが書かれた紙を渡すと、踵(きびす)をかえしこの場をあとにした。 残された二人は、特に会話もなく表通りに出、お互い反対方向に足を踏み出した。 「さぁて、帰るか」 既に、空は暗くなりあんなに歩いていた人の数もまばらになっていた。 「みぎわ、公園?」 無事家路についた一希は、自室で透から渡された紙に書かれた文字をなぞる。 みぎわ公園は、一希の学校ましてや家から離れた場所にある公園の名前だ。確か.……… 「十月さんの着ていた学校の近く、だったはず」 「一希ちゃん~ごはんよ?」 「今日は食べて来たからいらない」 正確には、食べられるはずがない。吐き気は落ちついたものの、今日はもうごはんが喉を通る気がしない 「あらそうなの?じゃあ、お風呂に入って寝ちゃいなさいね?」 「はーい」 あっさりと、信じたお母さんはお風呂に入るように促すと、待たせていたお父さんとごはんを食べ始めた様だ。一希は、紙を鞄にしまい制服を脱ぎパジャマに着替えお風呂に入り、部屋に戻りベットに寝転びながら一冊の本を開いた。 「一歩、私も近づいたのかな?」 その呟きに答えるものはいない。
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