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恭太郎は結構近くまで来ているということで、そのまま陽菜を迎えに来て二人で一緒に高田線の生田駅の方向に向かうことになった。
しばらくして到着した恭太郎の車に乗り込む。
もう会えないと思っていた恭太郎に再び会えた瞬間、陽菜は改めてこの人のことが好きだと思った。
「もうアナタとは会えないと思っていたので、正直嬉しいです」
車に乗り込むなり、恭太郎から思いもしない言葉。
陽菜は我が耳を疑った。
「わ、私もです。私も恭太郎さんに会えて死んじゃうほど嬉しいです」
「あはは。死んじゃうは大袈裟ですよ」
「そんなことありません。私って子供のころからずっと、仲良くなった子に実家がヤクザだってバレた瞬間から、もう遊んでもらえなくなったから、だから今回もそうだって思ってたんです」
「陽菜さん……」
恭太郎が悲しそうな顔をする。
「だからまた恭太郎さんとこうやって会えたので、死んじゃうほど嬉しいんです」
陽菜と恭太郎が見つめあった瞬間、まるでそれを邪魔するかのようにスマートホンの着信メロディが鳴った。
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