第4話 ロミオとジュリエット

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『お嬢、今大泊駅です。このまま改札から出そうですね』 「分かった。とりあえずそっちに向かうわ」 『また連絡します』 ヤスが電話を切る。 「大泊駅で降りたみたいです」 「大泊ですか。意外と近いですね」 「そうですね」 一応そう言ったけど、実はそんなに地理は詳しくない。 「でも電車で40分の距離ですから、そんなに近いってことはないんじゃないですか?」 「ああ、確かに電車だといったん東に向かって走って、今度は乗り換えて北から西に戻るので時間がかかりますけど、車だと真っ直ぐ行けるので20分もかからないと思いますよ」 「あっ、そうなんですね」 「ええ、そんなに道も混んでませんし、意外とすぐ着くと思います」 「へぇ~」 陽菜は感心した。確かに電車だと線路の上しか移動が出来ないから、そういうことになるのだろう。 これならあの二人が目的地につくまでに、追いつけるかもしれない。 15分ほど経って、またヤスから電話が鳴った。
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